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病気の話|田中優コラム #88

突然の疾患



病気になった。朝仕事していたら突然に視線がぐるぐる回り出し、椅子に座っていることすらできなくなった。そのまま崩れ落ちるように床に転がり、そのまま救急車で病院に運ばれた。目が回って吐き気が続き、何も食べることもできなかった。

しかし病院で検査した結果、命に別条のない神経炎にすぎなかった。その途端、脳神経外科の専門医たちは興味を失った。医師たちは「(早く退院させたいのだけれど)どうしよう」というようなことを話し合っていた。いやぼくの方だって一刻も早くここを出たいのだ。

結局一泊二日で家に帰ってきた。ただ看護婦さんたちだけは吐き気の去らないぼくに同情して、もっと入院していたらどうかと言ってくれたが。

体調が悪い時に感じる臭い




家に帰ってみると心地良い、さすがは天然住宅仕様、一切の有害化学物質の臭いがないのだ。しかしそれ以上に敏感になるところがさすがの病人、それでも臭いが気になる。子どもの使っている小麦粘土が臭い、「しまじろう」の玩具が臭い。それまで気にも留めていなかったものが臭く感じるのだ。もしこの家が天然住宅仕様でなかったら、それこそ絶命してしまっていたのではないかと思う。

弱気になったとき



そうなのだ、人はいつも頑強・屈強なときばかりではないのだ。ちょっと弱気になってしまうようなとき、どうにもならないときにだって安心して暮らしていたい。そうなると天然住宅仕様の家がいいんじゃないかと思う。

天然住宅はベーシックなニーズを満たすものとして作った。いつも考えているのはもっと所得の少ない人にも買えるものにしたいということばかりだ。おカネがあるならどんな贅を尽くした家でも作れるから、最低のニーズを満たすつもりで設計していった。もちろんもっと安くできた部分もあるのだが、「森を守って健康・長持ち」を実現するためにはこれ以下に下げられない部分もある。

弱気になったとき、この住宅は力を与えくれるのかもしれない。

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