ベニヤ板を使わない
天然住宅ではベニヤ板を使わない。
それに対して普通の住宅はベニヤ板をバンバン使う。ベニヤ板を使うと簡単に安く家が作れるからだ。
畳の下にはベニヤを張るし、壁の仕上げにだってベニヤ板を貼るだけですむ。床の水平剛性だってベニヤ板を張れば簡単に取れる。何でもかんでも使えるから便利なのだ。
しかも価格は紙より安い。厚さ12ミリのベニヤ板は実に一枚1000円もしない。かつては熱帯林木材が使われ、今では安くなったスギの木材でも作られる。
この熱帯材が利用されている頃から反対だった。なぜ森の豊かな日本が、森の乏しい希少な熱帯材を伐ってまでベニヤ板を作るのか。
ベニヤ板って何?
ベニヤ板を作るには木材を大根のかぶらむきみたいに剥いていって、その皮をタテヨコ直角にして複数枚数を接着剤で貼り合わせる。
ベニヤ板をヨコから見ると、複数枚貼り合わせていることがわかる。木材はタテ方向に強度が高くヨコ方向に弱い。タテヨコ直角に貼り合わせてあるから、どちらの方向にも強いのだ。
かつてはこの木材のかぶら剥きが難しかったために熱帯材しか使えなかったが、今では途上国でもできるし、それより硬い木でもかぶら剥きできるようになった。
熱帯材ベニヤ板
その熱帯材ベニヤ板の最大利用先がコンクリートパネルだった。練ったコンクリートが固まるまでの二週間ほどの間だけ使われて、その後はただのコンクリート片がこびりついた穴のあるベニヤ板として捨てられる。
日本では他国のように再利用がほとんどされず、しかも曲線を使うために使い回しができない。ヨーロッパでは何本も交わるような複雑な交差部分にしかベニヤ型枠を使わず、なるべく熱帯材を消費しないようにしていたのに。
こうして日本のベニヤ板は熱帯材の浪費の代表として嫌われることになった。世界的に熱帯林保護が叫ばれるようになった時に、ベニヤ板を使うこと自体が環境破壊だったからだ。
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