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本当の文明はどちらにあったのか|田中優コラム #138

テラプレタの特徴




アマゾンの森を維持させていたものの一つには、テラプレタの影響もあるだろう。

テラプレタ(黒い土)と呼ばれる地域が多くあるのはアマゾン川流域だが、そのテレプレタには面白い特徴がある。

テラプレタの土は連作障害を起こさないことから、掘り返されて販売されている。減ってしまうことに心配になるが、テレプレタには他にも面白い特徴があった。

テラプレタはその炭が微生物の住処になることから土地を豊かにするのだが、そのテレプレタがあると、周囲の土もまた微生物を住まわせて豊かにするというのだ。微生物自身が自分の棲みやすい状態を求めて、土壌の環境を変えていくのだ。

それは作物を育てるだけでなく、もちろん森林自体が育つためにも快適な環境を作り出していただろう。
奇蹟の森アマゾンは、人との共生の中で維持されてきたのかもしれない。
ところがそれを今のブラジル政権の人たちは、短期的な牛の放牧地を得るために壊してしまっている。

どちらが本当の文明なのか



私にはそれはとんでもなく破壊的なことに見える。
せっかく8000年前から作られていたインディオたちのプレゼントを、すべてぶち壊してしまうのだから。
どっちが原始的なんだろうと思う。
体に原色のペイントをして鳥の羽で着飾ったインディオの人たちなのか、気候に合わないスーツを着たきどった先進国の人間たちなのか。

私には聞くまでもなく明らかなことに思えるのだ。

焼き畑を「環境破壊」にしたのは誰か



ところが先進国では、彼らのする焼き畑を環境破壊だという。
もしそれが環境破壊的であったのなら、一万年も続けてきたのだからとっくに世界中の熱帯林はなくなっているはずだ。ところが熱帯林が減少したのは、先進国が入り込んで商業伐採をしてからのことだ。

そしてかつてから行われていた焼き畑は、森が再生するまで十分な期間は焼き畑をしなかったし、その整地も荒らすことなく、先の丸い棒でわずかに土をどかすだけだった。
燃やされた土地からも土壌が流れ出すこともなく、環境調和的だった。
何より焼き畑は、作物を育てるのに最も労力のいらない方法だった。

それが環境破壊的なものになってしまったのは、30年放置すると他人のものにされてしまう「取得時効」制度が入れられ、森を回復させるだけの時間を与えられなくしてからだ。
本当は50~60年に一度焼いていた焼き畑が、もっと短い周期で焼かなければ取り上げられてしまうようになってからだ。

本当に持続可能で、豊かな暮らし方はどちらの側にあるのだろう。
私たちは自然環境が許す範囲で、あらゆる生き物と共存する形で生きるしかないものだと思う。
そのヒントは滅びたと思われているかつての文明から学ぶべきではないだろうか。

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