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キンコンカンコン、大事な「菌根圏」の話です|田中優コラム#158

家の中にステイホームしろと言われて、足が痛いこともあってなるべく家にいた。ついでに大学の授業をするのにもZOOM利用ということになって、学生さんが飽きないように考えて、なるべく質の良い動画を探した。その中で良いものを見つけた。

たとえばこんなものだ。

「土の健康」についての動画で、ここから見に行くと日本語の翻訳付きで見ることができる。

友人のいんやくさんが翻訳を監修してくれていて、12分ほどのビデオだ。自分で農業をしてみようかと思ったときに、なぜ不耕起農法がいいのか、植物の根の周囲にできる「菌根圏(キンコンケン)」という「微生物」や「菌類」の共生がどのようなものなのかを知るにはとてもいい動画だ。

作物などの植物は自分の根では大きすぎて細かなところまで入っていけず、そこにある水分やビタミン、ミネラルなどを取ってくることができない。そこで植物は根から糖分や液体化した炭素などを微生物に与える代わり、自らの根の七倍もの範囲からそれらを取ってきてもらう。全く見事に植物と微生物、菌類などと共生しているのだ。

そして根の周囲をこの「菌根圏」で守ってもらう。様々な菌類や微生物がたくさんいることで根が守られる。さまざまな微生物がそこに密集して生息するおかげで、新たなものがそこに入り込むことが困難になるわけだ。

この「菌根圏」というものは、作物固有のものではないようだ。つまり土の中に別の植物が入り込んで根を張ると、従前あった植物の「菌根圏」を役立てることができるようなのだ。すると作物を転換するときに、従来あった作物が作っていた「菌根圏」を壊す必要はない。それよりもそのまま使った方がいい。「耕起」して土壌をかく乱するより、不耕起でそのまま役立てた方がいいのだ。

もう一つある。作物を転換するためにそこにあった植物を台無しにしなくていいことになる。これを「被覆作物」と言い、地表面を直射日光に焼かれて風化させてしまうことも、雨に当たって土壌が流れてしまうことからも守ることができる。土地の表面を裸にしてはいけないし、菌根圏を殺虫して死なせてしまうこともしない方がいい。化学肥料を与えると作物は菌根圏の微生物たちを養う必要を感じなくなり、糖分や液体化した炭素などを微生物に与えなくなる。収量が増加するのはほんの数年の出来事で、後には収量も減って痩せた土地になってしまう。液体化した炭素も出さなくなってしまうのだから、地球温暖化防止の効果もなくなってしまう。なんと愚かなことを繰り返してしまっているのだろうか。

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