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地球温暖化防止のルールが変わっていた|田中優コラム#161

HWP時代の「木造建築」ってすごいんです。


伐採木材製品(※HWP)という考え方ができていた。これまでは「伐採された木材は搬出された時点で大気中に排出されたもの」として温暖化させるものとカウントされていたが、それが「木材製品」として使われれば、大気中に排出されたものとしなくていい。炭素が固定されたと考えるのだ。

これまでは、伐採しても運び出さずに放置する「切り捨て間伐」が有利にカウントされていた。林内に炭素として残っているので「炭素を固定していると扱っていたのだ。それに対し「伐採木材製品(HWP)」が炭素を大気中へ放出した扱いにされていた。これでは逆だ。林地を荒らすばかりの「切り捨て間伐」が地球温暖化防止策になり、実際に炭素が固定される「伐採木材製品(HWP)」が温暖化を招くものとして抑制されてしまっていたのだ。そのせいで国内でも「切り捨て間伐された」荒れて入ることもできない森が増えていた。それがやっと改正されて、「切り捨て間伐」は評価されず、きちんと木材製品として使われるものは炭素を固定しているとしてカウントされるようになったのだ。

※Harvested Wood Productsの略。
森林外に運びだされた全ての木質資源のこと。
2011年の第17回締約国会議(COP17)での、京都議定書第二約束期間における森林等の取扱いに関する新たな枠組み。(第一約束期間では森からの「搬出時」にCO2排出とみなされていました。第二約束期間では「燃焼分解」「埋立処分」時に排出とみなすように評価方法を見直しています。)


ここから天然住宅の木造建築を考えてみよう。もちろん炭素蓄積になっている。地球温暖化を招かずに炭素がプールされているのだ。ここから先がまた違う。天然住宅は「住み継ぐ家」を前提にして、なるべく長く使えるように設計されている。主たる素材はスギだから、50年あればもう一度木材が育ってくれる。それだけで持続可能だが、天然住宅では最低でも100年、できれば300年持つように設計している。長期耐久性を担保するために、基礎コンクリートの打ち方から木材の乾燥方法、組み立て方まで気を遣う。

その「伐採木材製品(HWP)」はその後、カーボンニュートラル(炭素的に中立、排出した分は吸収されるからプラマイゼロ)とされるのだが、天然住宅はここから先も違う。木材を無垢のまま、余分な防腐処理や化学物質処理をしていないから、取り壊した家の木材は無公害なのでそこから燃料として使えるのだ。燃料ペレットでも薪としても使える。もしさらに「木質ガス」にして使って「炭」を取りたければ「くりこまくんえん」社の給湯発電施設に届けることもできる。

ここでは熱をかけて「可燃性のガス」を取り、それを燃料として発電・給湯していて、最後に炭素の塊である「炭」だけ別に取れる。この炭は土壌改良剤として森に埋めよう。するとまたさらに炭素は貯蔵されるのだ。


家を建てることは環境破壊ではない。それどころか炭素のプールとして使えるのだ。そんな炭素をプールできる住宅なら、家は建てた方がずっと環境に良いことになる。「悪いことではない」というのではなく、環境保全のために家を建てた方が良いのだ。

これは画期的なことではないか。貯金をしてフェラーリを買っても環境破壊にしかならないが、天然住宅なら環境保全になるのだ。そんな未来を考えてもらえないか。

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