我が家は「オフグリッド」していて、梅雨時のような雨の降りやまない時期はとても大変だ。外出して過ごしたり、なるべく充電された(コンセントから電気をとらない)電化製品で過ごしたりして、なんとかやり過ごしてきた。三日間バッテリーで暮らせると言っても、晴れ間がなくなった翌日には二日目だから、あと一日と考えるとひやひやする。昼間でも太陽が顔を見せなければ充電はされない。いろいろと知恵を絞って暮らすのだが、原稿の締め切りが近かったり、人が集まる予定があったりするとやっぱり困る。なんとか充電量を増やすことは自分の中で大切な課題だった。
それが大塚尚幹さんからの提案によって大きく改善された。日産リーフの中古バッテリーを増設して、「パーソナルエナジー」の充電量が厳しくなった時には補完するという案だ。太陽光発電パネルも同時に増設し、雲った昼の少ない太陽光でも発電させて、バッテリーの半分ほどは充電させる、というプランだ。
中古バッテリーと言っても車を走らせるのと比べたら、使い方はゆっくりしたもので、負担は少ないし、中古なのでバッテリーが多少劣化していると言ってもほとんど不都合はない。突然切れるというものでもなく、蓄積できる量がほんのわずかずつ減っていくということだが、だいたい20〜30年かけてのことだから、気づきもしない程度だ。
装置自体の付け直しは他の友人がしてくれた。その友人自身の家も同じ中古リーフのバッテリーを使っていて、替えてから電気に不自由しなくなったと話している。
替えた効果はすぐに出た。それまでの鉛バッテリーは、太陽光パネルがせっせと発電をしても、すべてが充電されるわけではなかった。ところが今度は即座に充電されていく。今日も天気は悪くて太陽は出ていないのだが、パーソナルエナジーのバッテリーを残量15%で止めて、リーフの側にしたのだが、切り替えた5時間ほどの間に30%まで回復している。この二つのソーラーパネルとバッテリーのセットで、今までの倍ほど耐えられる。
もしその間に晴天の日が一日でもあれば、両方ともフル充電される。簡単に言って、それまでの倍の量を貯められている感じだ。ということは、晴れ間がなくても、約六日間はなんとかなるはず。六日も雨が降り続けるとは考えにくいので、もう我が家は電気の心配はしなくていいと思える。それはとても大きな安心感だ。
充電されていく時が効率的になったのと、あと「鉛バッテリー」みたいに(「密閉型なら心配ないが)バッテリー液の量のチェックと、精製水の補充もしなくてよくなった。あと注意が必要だとしたらバッテリールームの温度が高くなりすぎると良くないので、換気できるように方法を考えよう。それで二セットのバッテリーの残量を見ながら、切り替えることさえ忘れなければ、安心して暮らせるのだ。
今後さらに太陽光発電パネルも増設する予定だ。パネル自体が安くなった上に一枚あたりの発電量が増えたので、導入もしやすくなっている。これで電気が不足する「電気貧乏(デンビ)」など、過去の笑い話になるだろう。
でも事によっては、これで「普通の家の暮らし」になっただけかもしれない。でも我が家においては「産業革命」が起きたような話なのだ。暮らしが改善されていく楽しみ、味わってみてほしい。
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