これから紹介するのは、天然住宅のスタッフと、慧通信技術工業の粟田さんとでミーティングをした後、粟田さんが送ってくれたメールにあった言葉だ。引用されるとは思ってもいないだろうけど、とても良かったので本人に承諾を得て、紹介させてもらうことにした。内容は天然住宅の新商品「KAERUIE」についてである。
本日は楽しい時間を皆さんと共有出来て、とても未来を感じました。ありがとうございます。
皆さんが企画されているプロジェクトについて、私が感じたことは、これは「箱舟」だな、です。
誰もが買える家、帰る家、というコンセプトデザインだと理解しておりますが、私には、未来に漕ぎ出す舟、に見えました。
手前勝手ではありますが、もし、共感いただけるのでれば、この船のエンジンにはぜひ、パーソナルエナジーを搭載していただきたい。そのための専用のデザインを起こそう、そう思った次第です。
私がパーソナルエナジーをデザインした契機は、阪神淡路大震災ですが(田中優付記:粟田さんは神戸在住で、「パーソナルエナジー」にも「Made in KOBE」と書いてある)、それまでの、国家、地域、家族といったもの全てから独立して「個」が生むエネルギーが有機的につながる、そんな思いを形にしたマシンです。
私たちが生きている、いま、は、過去が土台であることは誰も否定出来ないと思います。しかしながら、その土台の歪みについては「まあ、仕方ないでしょ」と、見過ごしてきた、いまが今日です。
私たちはプログラミングから始まって、このプログラムが自由に走るフィールドを自分たちでつくり、それを形にしてきました。
よく、世の中を変革する、などと言いますが、変革なんて毎日していますから、大切なのは、その変革、変化に寄り添った、市場(いちば)を作り出すことだと考えています。
市場とは人が集い、それぞれの異なった価値観を、ときには争い、時にはすり合わせ、それぞれの「違い」を認め合い、価値を交換する手段によって、(時にはお金ですが)成り立つ場所です。
悠久の時をそうして人は生きてきました。
人間はとても逞しい。私は、そう信じています。
こんな、一見破天荒な私のビジネスが成り立っているのも、世界は広くて、異なった価値観を共有できる人たちが世界中に生きていてくれるおかげです。
皆さんが企画されている、この家は、私にとっては未来に向かってゆく、箱舟そのものです。
人、ひとりの力、出来ること、時間は限られていますが、小さな舟と、正確な羅針盤さえあれば、不確実な未来へと漕ぎ出すことが可能です。そうした仕事をご一緒に出来れば、と思っております。
急がず、慌てず、失敗を恐れず、形に出来れば最高ですね。引き続き、よろしくお願い申し上げます。
ぼくは粟田さんがとても好きで、いつだったか「ぼくは田中さんを友だちだと思っているので、一緒にやっていきましょう」と言われた時にはとてもうれしかった。彼の方がぼくよりもずっと若くて優秀で、とてもロックな人だけど、そう言ってもらえたことがうれしかった。
今度はその彼と共に箱舟で船出する。これが楽しみでない訳がないだろう。天然住宅の小野寺設計士だって、自分から粟田さんにメールしたくらいだから、きっとインスピレーションが湧いたのだと思う。小野寺さんは粟田さんよりさらに若いが、そうしたつながりが未来につながっていくのだと思う。
そこにこれからの施主さんに参加してもらって、次の時代を創っていきたい。
(次回に続く)
「KAERUIE」の情報はインスタグラムをご覧ください。
https://www.instagram.com/tennen_jutaku/
詳細は公式リリースをお待ちください。
田中優コラム、そのほかの記事は
>>こちら