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天然住宅と未来バンクがコラボする(2)|田中優コラム #210

前回の続き 
 地球温暖化の問題は、人間活動が原因であることに「疑いの余地はない」と、気候変動に関する政府間パネルは宣言した。そして温暖化のドミノ倒しが起きるまでにあと数年、解決することができる期間もそれだけと考えられている。今のように氷河が溶け続け、海の氷が海水に変われば、氷が反射していた太陽光の熱は海に貯められてさらに海氷を溶かす。こうした負の連鎖が始まる前に解決しなければならない。そうしなければ、将来の世代の子どもたちの未来を失わせることになる。
 
 何とかしたいが、世界規模の問題では自分だけでは解決できない。確かに日本だけでも解決できない。しかし解決しようとする人々のいることが未来への希望ではないのか。
 
 それには世界最大の二酸化炭素を排出している「発電部門」を変えることから始めるべきではないか、というのは以前から指摘していることだが、実はもう一つ天然住宅がやっている対策がある。それが植林や森の手入れだ。

 森や耕作地の土壌に炭素の塊である炭を入れていくことは、予想外の大きな効果がある。畑なら「炭素循環型農法」と呼ばれるものだ。その土壌の炭素は、もともと植物と根の周辺に共生する菌根菌などが大気の二酸化炭素を集めたもので、その分だけ大気中の炭素を減らすことにつながる。それを土に入れると農作物に対して良い影響をもたらすことが多く、病害を減らす効果がある。というのは、植物は周囲の狭い隙間から栄養を得ることができず、実際に集めているのは微生物やキノコなどの菌たちなのだ。その菌にとって、炭はマンションのような存在で、微生物が住むための細かい隙間を届けることになり、生育にプラスの影響を与えるのだ。

 私たち天然住宅に素材を提供してくれている「くりこまくんえん」では、すでにエコアパートを建てていて、そこでの暖房や電気の熱源は、細かくなって使えない木屑や木片を使っている。いわゆる「バイオマス」だ。だから二酸化炭素を排出する電気もガスも使っていない。さらに燃やした後のバイオマスは「炭」となって残る。これを林地や耕作地に使えば、そのまま土壌を豊かにすることになるのだ。
 
 二酸化炭素の排出問題から見て、一番優れた方法は木造建築だ。その木材がプラスチックや化学物質にまみれていては、燃やすときに有害物質を発生させてしまう。しかし天然住宅なら有害物質は可能な限り使わず、無垢の素材のまま住宅にしている。水道管や配線コード、電化製品などを外してもらえば、そのまま土壌に撒かれたとしても環境を汚さないものばかりだ。
 
 これがスタンダードになれば問題は解決できる。よく環境問題は「人々のライフスタイルの問題だ」というが、実際問題は強欲な大企業の起こした問題だ。エネルギー問題でもゴミ問題でも、問題を作っているのはそのような大企業だ。それを人々のせいであるかのように責任転嫁するための用語が「ライフスタイル論」だ。
 
 しかし天然住宅のような解決策がある時に、それを選ばずに大企業型の(従来の近代資本主義的理念に則った)家を選択するとしたら、それこそ「加害を選ぶ人々のライフスタイル」の問題になってしまう。私たちは良心のある人たちとつながり、精一杯努力して良い家を作り、買ってもらえる仕組みを作っている。だから本当は、このような家を建てようとする天然住宅があることを多くの人に知ってほしい。そのことを知らせるために、皆さんの力を貸してほしい。みなさんの力を貸してもらえないだろうか。
 
 ぼくはカネはいらないから、子どもたちに未来を残してあげたい。そのためにだけ自分の力を注ぎたい。子どもの無垢な姿が力の原動力だ。そのために残されたすべての力を注ぎたいと思う。
 
▼参考図書 地球温暖化〜電気の話と、私たちにできること〜

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