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天然住宅と未来バンクがコラボする|田中優コラム #209

 天然住宅として未来バンクと融資のコラボをしたらどうなるだろうか。今までも住宅建築のために未来バンクが融資したケースはあるし、取り立てて不思議なことではない。融資すると言っても融資の基準を緩めるわけでもないし、金利を下げるわけでもない。しかし低利で複利ではなく単利で融資する「未来バンク」として、進めたい未来に合致する方向でさらに一歩踏み出したいと思うのだ。

 未来バンクではこれまでも「環境・福祉・市民事業」に融資してきた。それを現状の課題に焦点を合わせて実現したいと思うのだ。それが「KAERUIE(かえるいえ)」と併せて行う「エコワンソーラー向け融資」だ。
 
 「KAERUIE」は帰る家でもあり、買える家でもあるというコンセプトだが、天然住宅自体が環境や住む人の健康、さらには木材を生み出す山の森を守ることをテーマにして建ててきた家だ。「天然住宅」の素材をつくり出してくれている「くりこまくんえん」では、これまでも二酸化炭素を排出しない林業、木材加工をしてきてくれたが、その進展は恐ろしく早い。このままでは「天然住宅」自身が遅れを取ってしまいそうだ。そこでさらに天然住宅自身ももっと先に進みたい。

 具体的に言うと、そこに住まうだけで自ずと二酸化炭素の排出が抑制され、持続的な暮らしが実現できるようにしたいのだ。家の中から排出される二酸化炭素の中で一番多いのは「電気」だ。その電気を自然に省エネし、さらに電気を作り出して自給し、さらに家から排出される二酸化炭素の中で二番目に多い「給湯」も自給してしまおうと思うのだ。

 具体的にはすでにコラムでも述べた通り、「慧通信技術工業」と「リンナイ」が協力して作り出した「エコワンソーラー」に、融資しようと思うのだ。この「エコワンソーラー」をうまく活用すると、「トイレ・冷蔵庫・風呂の給湯」を自給できる。万が一の事態が起きた時にも、そこまでは自給することができるのだ(下図)。
 

 これは開発者である粟田さん自身が神戸で震災に遭い、その苦労を実感してきたおかげでもある。粟田さんはその体験から太陽光発電で作った電気を電力会社に売り渡すのではなく、バッテリーに蓄電し、自給する仕組みの「パーソナルエナジー」を開発した。我が家にも導入している。今回、そこからさらに発展して「エコワンソーラー」を作った。

 我が家の「パーソナルエナジー」は値段の高いリチウムイオンバッテリーを使用しているが、リチウムイオンバッテリーは相変わらずリサイクルできないことが弱点だ。リサイクルを理想的な形で実現しているメーカーは今のところ存在しない。

 それを「エコワンソーラー」では、古くからある「鉛バッテリー」を活用している。なぜなら鉛バッテリーはそれ自体に価格がついてリサイクルされるので、100%リサイクル可能なのだ。これは江戸時代にガラスのリターナル瓶が開発されていた話によく似ている。当時はガラス自体が高い品だったために、使われた一升瓶はリサイクルされていた。定型的な形によって、酒、醤油、油と多様に使われたのだ。プラスチックのように安く作れるものが良いものなのではない。素材が高くても再利用される品の方が良い品だったのだ。おかげで今でも一升瓶はリサイクルされている。粉々にするのではなく、洗って再生することで使われ続けているのだ。

 同じように「鉛バッテリー」も有効にリサイクルされているので、捨てられずに使われている。素材は安ければ良いのではない。素材は高い方がリサイクルの可能性が高まることもあるのだ。「エコワンソーラー」には、爆発の心配のない密閉型の最新の鉛バッテリーが使われた。それでいて安く交換可能なバッテリーにしたのだ。

 それを家につけるなら、最低限の「風呂・トイレ・冷蔵庫」を使う生活は確保される。その心臓部である「エコワンソーラー」を新たにつけようとする人の多くは、ソーラーパネルも持たないだろう。その両方をまとめて320万円を「未来バンク」では融資したい。

 それを10年間で返済するとしたら、毎月29,000円の返済で足りる。それだけだと高く聞こえるが、エコワンソーラー設置により、賢く運用するなら電気代・ガス代合計で毎月1万6千円程度は節減できる。しかも電気料金やガス代は永久にかかるが、エコワンソーラーなら返済が終われば費用はかからなくなる。


 これが「天然住宅」と「未来バンク」のコラボによって実現できるのだ。さらにこれを導入することで、家庭内の二酸化炭素の排出量の約半分を節減できる(下図)。

 地球温暖化の問題は、「人々のライフスタイルの問題」などではない。元々、電力会社や大企業が生み出した問題だ。今後はさらに問題は家庭の排出などではなくなっていくだろう。企業や電力会社の責任が残るのだ。反省ばかりでは、問題の解決はない。十分ではない企業を問題にすることもしていかなくてはならない。(次回に続く)
 
 

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