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現実的な魔法のリノベに|田中優コラム #221

 
脳出血後遺症で歩くのに難儀するようになってから、テレビの連ドラをよく見るようになった。ドラマつながりで言えば、「魔法のリノベ」なるドラマも見ている。これはリノベーションを請け負う会社の物語だ。主人公の営業マンが、お客さんの言葉にされていない物語を微かな表情などから読み取り、本当に求めているものをつかんで受注につなげていく。そのスリリングな読み取りがこのドラマの面白さだ。
 
そこで出てくるリノベーションプランの映像も面白い。「ふぅん、なるほどね」という感じだ。でも一話目のリノベした家庭の室内の配色が不自然だった。なるほど「ぼくは木材のような自然な色でないと辛いのだな」と思った。爽やかなブルーのような色彩が使われていて、それはとても綺麗なのだが自然ではない。それらの色彩は窓の外に広がっているのが良くて、室内の色としては不自然だ。ナチュラルな色彩でないと落ち着かないように感じた。

 
そこでの見どころは、やはり波留さんが演じる先輩営業担当の鋭い観察と洞察だ。本当はお客様が何を望んでいるのかを感じ取り、それにフィットするリノベの提案を出す。それがお客さん自身の言っていることと真逆だったりする。それを推察しながらプランを提案していくのだ。それに加えて先々を見越した提案でないといけない。
 
以前に受注した建主様が、その後にさらに子どもたちが増え、先日会った時には「今になってもっとこうしておけば良かったと思うのは、夫の生活時間帯が家族と違うので別の部屋にしておけばよかった」というのだ。なんだかそこまで見越さなかったことに後悔に似た気持ちがする。もちろん予算との兼ね合いがあるのだから、何でも実現できる話でもないのだが。でも可能な限り実現してあげたかった。

 
そして次に実現してあげたいのが電気の自給だ。太陽光パネルと鉛バッテリーの組み合わせで、今までもいくつかのお宅で実現はしてきているが、また最近になりお客様の中でも増えつつある要望だ。これまではパネルやバッテリーなど機器の価格と施工費で元を取ることはとても無理だった。ただ、今後もしかしたら現状で負担している電力使用料金の範囲で、独立電源システムの設置費を賄えるかもしれない。それはパネルの価格が下がったこと、そして、電気料金がそれ以上に値上がりしそうだからだ。
 
それも鉛バッテリーではなく、電気自動車「リーフ」の中古バッテリーを使って蓄電することできるようになってきた。リーフの中古バッテリーで電気を自給できれば今までよりも手間や負担を大幅に削減できる。しかし、リチウムイオンバッテリーは半導体不足の事態以来、素材の価格が値上がりし、価格は3割程度高くなってしまった。それでも電気料金の方がそれ以上に値上がりしそうなのだ。
 
家庭の電気料金は不都合な費用を何でも混ぜ込んでしまうので、どんどん高くなっている。その家庭の電気の自給なら、小さな仕組みで小さく地域で実現することが可能だ。超高圧線でなくても、家庭の100ボルトぽっちの電圧なら、わずかなソーラーパネルで発電して自給することもできるのだ。我が家は現実に電力会社とつながらないまま、この10年を暮らしてきた。そんな未来も見越せる形で家づくりのお手伝いをしたい。何より、何の環境負荷も与えない暮らしが実現できるのだから。
 
そこまで考えた「魔法の家作り」をしてみたい。
 
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