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新型コロナウイルスに対抗するには | 田中優コラム #156

 私はもちろん医療関係者ではないし、これといって特別な知識があるわけでもない。しかしその問題が降りかかってきて、毎日のニュースや気にかかる情報を自分なりに考えてきた。もちろんそんな私の発言に対し、「シロウトのトンデモ説」だという批判があることも知っている。しかしそれでもなお、他人事にして無視するのではなく、自分なりの対策を考えていきたいし、シロウトだからと考えずにいることは嫌だった。

 何が役立つのだろう。それが薬やワクチンであれば、時間がかかるにしても誰か専門家が考えつくだろう。しかし私としてはワクチンに頼るのは嫌だし、できる限り自然の中から解決策を見出したかった。ワクチンはそれを保管するための防腐剤や殺菌剤が必要になるし、薬はアビガンに催奇性(奇形を生み出すこと)があるように、何かしらの副作用を耐えなければならない。その点食べ物は、長年の間人々が食べてきているのだから安全性は立証済みだし、余分なものを添加しなくても大丈夫だ。

 そうしたものから考え続けることにした。そこで今思いつく中からの解決策を見ておきたい。偶然「天然住宅」のお客様の中から、「優さんはどう考えているのか知りたい」という声が届いてきた。誠にありがたい言葉だと思い、これを書いてみることにした。

 まず病気の本体だが、ウイルスによって感染するもので、呼吸器系と、胃液を乗り越えられないはずの消化器系にも感染する。呼吸器系では呼吸器の浅い部分の気管を超えて、肺の奥まで到達して重病化する。しかも重篤化させるものの多くはウイルス本体によるものではなく、そのウイルスに対抗しようとした免疫(主にIL-6=インターロイキン6)の過剰分泌によって引き起こされている。「サイトカインストーム」と呼ばれるものだ。

▲図1

 「アクテムラ」という薬剤の点滴によりウイルスの増殖を抑制すると共に、「サイトカインストーム」を抑制できる。

 この「サイトカインストーム」は、傷つけられた血管を修復するために血栓を作り出す。そのため、もともと弱い血管に大量の血液を流すことが必要な状態にある「高血圧」や「循環器系疾患の予備軍」の人たちには、致死的な病変をもたらす。ウイルスを抹殺するために、ウイルスに感染した細胞そのものを抹殺するからだ(図1)。

 重症化の原因は、ウイルス自体による被害ではなく、「サイトカインストーム」と呼ばれる自己免疫の暴走なのだ。

 これは自己免疫疾患だから、同じく自己免疫疾患である関節リウマチの薬品である「トシリズマブ」などに非常に大きな改善例が見られ、中国およびイタリアにおいてCOVID-19の治療薬として推奨されている。

 「アクテムラ」もまた同様の効果を持つ。このように「インターロイキン6(IL-6)」による「サイトカインストーム」を免れる方法も存在する。

 消化器系の病変にも同じ機序が起きていると思われる。従ってこれにも同様に効果があるものと見られている。

 この「サイトカインストーム」に対してはもう一つ、「制御性T細胞」(Tレグ)が大きな作用を持っている。そもそも「T細胞」というのは「Thymus(胸腺)」の頭文字をとってそう呼ばれている。そこでは「サイトカインストーム」のような免疫の爆発的な発生と、それを抑制する「制御性T細胞」とが拮抗して成り立っている。その爆発的な免疫機構の発生を抑制する機能として、「Tレグ」の存在が大切だ。その「Tレグ」というのは、一体何なのか。

 全く驚くべきことに、それは腸内細菌の一つ、一部には病原性を持ったものもある「クロストリジウム菌」が、腸内に流れ込んできた「水溶性食物繊維」を分解したときに生み出すものだった。その菌は「酪酸菌」の一種で、臭いの良くない「酪酸」の一種だった。

 これは日本人には馴染みのある菌で、海産物など水溶性食物繊維をよく食べて消化してきた人たちにはよく発達しているもので、日本人と海洋沿岸のわずかな国の人たちだけが持つようだ。日本人だけが「海苔を消化できる」というのは有名な話で、食べ物と共生して腸内細菌が発達してきたのだ。しかもさらに昆布の生産量は北国の北海道周辺だというのに、昆布の消費量が最も多いのは沖縄であったりする。これは日本国内で「北前船」というような、国内を流通する不思議な物流の発達によってもたらされた。

 今回の新型コロナウイルス問題で、東アジアの沿岸部では、他国と比べて非常に死者数が少ない(図2)。

▲図2

 それはこの海産物からの「水溶性食物繊維」を食べるという文化が、日本全体に広がっていたことと無関係ではないと思う。それによって免疫を調整する「Tレグ」が機能していて、人々の免疫機能を整えていたのだと思う。

 そして「液性免疫」の獲得免疫の場合には、最初に「免疫グロブリンM」(免疫グロブリンとは血液や体液中にある抗体としての機能と構造を持つ蛋白質の総称で、G、A、M、D、Eの5種類がある)がある(図3)。

▲図3

 その獲得免疫の「免疫グロブリン」は、通常、先に「免疫グロブリンM」が活動し、次に「免疫グロブリンG」が活動する、それを「B型肝炎」で示すと常識的に(図4)のようになっていた。これが標準的な免疫活動の順序だ。

▲図4

 ところが今回の新型コロナウイルスでは、免疫グロブリンの発生の順序が異なっている(図5)。

▲図5

 そして免疫グロブリンMが非常に早い時点で活性化した場合に重症化したのだ。

 それらを合わせて考えると、日本人は今回の新型コロナウイルスに遭遇する前に、先に同じようなウイルスに遭遇していて、免疫グロブリンMを飛ばしてグロブリンGに進んでいたのではないかと思わせる。同じ「コロナウイルス」の一部であるインフルエンザを経験していたか、中国でMARS(重症急性呼吸器症候群)が広まった時に、日本に重症化せずに広まっていたのではないかと思わせる。これを同じコロナの一種として「コロナX」とすると、辻褄が合うのだ(図7)。

▲図7

 そして私は以上のようなことから、新型コロナウイルス対策としては、PCR検査すら十分に行わず、対策は後手後手で、感染がおとなしくなった頃にやっと「緊急事態宣言」をし、「三密対策」ばかり言ってマスク二枚しか配らなかった国なのに、気づいてみると死者数の被害の少ない国であったことになったのだと思う。政府のだらしなさが目立ち、それでも被害が少なかったのは、日本人が優れた食文化を保持していたことと、真面目な国民性が、不足しているはずのマスクをつけ、過剰な接触をせずに外出などを「自粛」したおかげであると思う。

 しかしいささか過剰になってしまった。「自粛」を正義の御旗にして、他人にまで強制しだした時には戦時中の人々のような薄気味悪さを感じた。
 
 元の社会に戻そう。気を付けるべきは「三密」で閉じこもることではなく、唾に触れてしまうような密集して一皿の食事を分け合うような会食と、感染した場合に重篤化しやすい人たちの隔離であり、特に若い人たちはきちんと理屈に合った食生活をして、自己免疫を強めることに努力すべきだ。隔離を中心にして社会を閉じ込めさせて閉塞させるのではなく、開放的で合理的な仕組みを構築すべきだ。

 特にだらしない有力者が作った社会の仕組みに迎合すべきではなく、一人一人からの発信から社会を合理化すべきであると思う。これからすべきことは、いろいろな意見と事実を積み上げ、話し合いながら社会を良い方向に進めていくことだと思う。そのための期間であったとすれば、この「緊急事態」の期間も無駄ではなくなるだろう。

(特に多くのデータと考え方は児玉龍彦さんの意見を参考にした。謹んでお礼を言いたい)

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2020年6月1日公開

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