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みんなの子育て #2

建主さまに聞いた、子育てのお話


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・お話を伺った人
神奈川県大磯町在住Yさんご夫婦
会社員の夫、専業主婦の妻。8才と4才の姉妹の4人暮らし。奥さまは天然住宅元スタッフの友人。第一子出産後にシュタイナー教育と出会い、長女はシュタイナー系の幼稚園へ。土地探しを経て、2017年に神奈川県中郡大磯町に天然住宅を建築。最近の楽しみはご近所さんとの畑活動だそう。

妊娠中のこと、そして出産へ


奥さまのTさんが第一子を妊娠したのは2011年。その直後に東日本大震災が起きました。原発事故の影響で食に対する不安が高まったことから、当時、国よりも厳しい基準で放射能検査を行っていた「生活クラブ生協」の食材を購入していたそうです。
 

妊娠7ヶ月頃まで仕事をしていたため、平日に行われる妊婦向けの教室に参加することができず、少なからず心細さを感じていた時期、頼りになったのがお母様の存在でした。退職後は週に2〜3回会うように。今でも何かあれば電話で相談する仲なんだそうです。
 

Tさんは一般的な産院で出産をしました。他の選択肢を知らず、ごく自然な流れでそうされたようですが、出産時に抱いた違和感が、「二人目は助産院で産みたい」という願望につながったのだといいます。
 

Tさん:
出産は病気ではないですから、もっとナチュラルなものと漠然と思っていたんです。でも実際は、分娩台にあがり、どこか機械的で流れ作業のようにも感じました。それがずっと違和感としてあったので、もしまた機会があったら、今度は家庭的な雰囲気を大事にしながら産んでみたいと思いました。
 

お子さんと、どこで遊んでいましたか?


現在、大磯町に住んでいるTさんは、家を建てる3年前まで逗子市に住んでいました。地域の子育て支援センターにはよく足を運び、そこで、のちに天然住宅を知るきっかけとなった友人(元天然住宅スタッフ)とも出会います。
 

Tさん:
遊び場として他におすすめなのは教会です。近所にある教会では週に一度、おやつを食べて賛美歌を歌うという緩やかなコミュニティがありました。習い事だと必ず行かなくちゃいけないというプレッシャーがあるけれど、そういう決まりがない、行ける日に行っていいというスタイルが、小さな子を育てる身としてはちょうどよかったですね。
 

教会は宗教関係なく誰でも受け入れてくれました。今でもそこで仲良くなった親子と交流が続いているそうですから、どこでどんなつながりが生まれるか分かりませんね。
 

「子育て中の悩みを教えてください」


Tさんにそう尋ねると、ご夫婦での価値観をすり合わせることが一番むずかしかったといいます。
 

Tさん:
シュタイナー教育を知るようになり、私自身、食事に気を配ったり、テレビの視聴を控えたりなど、気にすることが増えていったんです。夫からは「考えすぎなのでは?」と言われることも多く、当時は衝突することが多かったですね。一時は毎日のように喧嘩していました。
 

では、どんなふうに乗り越えたのでしょうか?
 

Tさん:
育った環境がそもそも違うのだから考え方の違いは仕方ないと割り切った上で、とにかく話をしました。小さな子がいるとゆっくり話をする時間はとれないので、朝ごはんを作っている最中や買い物に行く車中などで話しました。
 

ご主人と話をする時、Tさんには心がけていたことがあったそうです。
 

Tさん:
自分がこうしたいと思う理由を、丁寧に説明することを意識していました。説明するためにたくさん調べることも。夫は頭ごなしに否定する人ではなく、話をちゃんと聞いてくれました。自分なりに考えて理解しようとしてくれたからこそ、ちゃんと説明しなくてはと思ったんです。
 

近しい間柄だからこそ、時に説明することを怠ってしまったり、どうして分かってくれないのとつっぱねてしまうこともあるかもしれません。
 

丁寧に話すこと、しっかりと聞くこと、そして話し合うこと。
そうやって積み重ねることを諦めなかったことが、子育てにおける夫婦間の足並みを少しずつ揃え、共通認識を深めていけた秘訣といえるのかもしれません。
 

子育て観が変わった気づき


そんなTさんは、一度こうだと決めると貫きたいタイプの性格で、時に「こうあらねば」という縛りにがんじがらめになってしまうことがあるそうです。
 

Tさん:
特に食に関しては、「オーガニックなもの」という強いこだわりがずっとありました。その考えを解いてくれたのが、産科医・池上明先生の存在です。池上先生の著書「笑うお産」はよく読みました。
その中で印象的だったのは、「体が欲しているものは、その人にとって必要なもの」というメッセージでした。たとえそれが、添加物が多く含まれた体に良くないとされる物でも、栄養面ではなく、精神面で必要な場面もあるんだということを知りました。
 

このメッセージというのは、お腹の中にいる、ある赤ちゃんからのメッセージとして紹介されています。池上明先生と言えば、「胎内記憶」で有名な方でもありますね。
 

赤ちゃんというのはある意味で、「お母さんのこだわりをとり、緩めるための存在」なのかもしれない。Tさんはそんなことも思ったそうです。
それまでは知識で食べ物を選ぼうとしていましたが、「もう少し緩くてもいいんだ」と思えるようになりました。
 

▲Tさんおすすめの本。(どちらもシュタイナー教育がベースのもの)

現在のTさんは、もちろん食事を大事にされていますが、例えばお子さんがファーストフードで食事をしたがっても、「いいよ」と言えるようになりました。もっと長い目で見た時に、本当にいいものに気づいてもらえたらいいなと、どっしりとかまえられるようになったからです。

「笑うお産」をわたしも読んでみて・・


Tさんのお話には、個人的にうんうんと頷きたくなるところが沢山ありました。なぜなら私自身、「がんじがらめに縛られてしまうタイプ」だから。そのことをやっと認められるようになったのは、つい最近のことです。
 

今となっては、なんであんなことにこだわっていたのだろうと不思議に思うことも多いのですが(今でもかたよったこだわりはあるほうですが…)、その時は守るべき小さな命のため、ずいぶんと気負い、責任を背負いこもうとしていたのかもしれません。
 

後日、私も「笑うお産」を読んでみました。
こんなことを思いました。
 
「絶対にこうでなければいけない」という思い込みは、時に、自分をとても苦しくさせてしまうことがある。それが行き過ぎてしまうと、出産や育児を、正解とか敗北とかで捉えてしまいかねない。それは違うような気がする。
 
一方で、自分で考え、そうしたいと思ったこと、それがやや強めのこだわりだったとしても、それはそれでいいのではないかと思う。
 
もしその時、意識したほうがいいことがあるとすれば、「何のために自分はそれにこだわっているのだろう?」と問いかけてみること。
 
「ちょっとこだわりすぎている自分」を自覚しつつ、それでもこだわりたいなら、そうしたっていいじゃない、と昔の自分に言ってあげたくなりました。
 

そして今の私だったら希望を込めて、こんな風にも思いたいです。
 

「目の前の子が、全部教えてくれる」と。
  
周りの声や情報に振り回されそうになった時、そちらに気を取られてしまうより、目の前の子をしっかり見る。この子の中から、答えを見出そうとする。一緒に答えを出そうと思う。
 
そうして選んだ選択にはきっと愛があって、愛のある選択ができたのなら、その選択はベストだったと考えていい。池上先生の本にもそんな一節がありました。
乳幼児期の子どもに対してだけでなく、愛のある選択、していきたいものです。(自戒の意もこめて…)
 

長くなりましたが、2話はここまでです。
次回は、夫婦の価値観が大きくあらわれる家づくりのお話をお届けします。どうぞお楽しみに!
 

Tさんに聞いた子育て愛用品の紹介記事はこちら
 
>>抱っこ紐編
 
>>おもちゃ編
 
>>絵本編

>>おやつ編

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