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木材乾燥の技術革新|田中優コラム #219

すでに述べたように、石川県のフルタニランバーさんで、woodbeという木材乾燥機の開発を手伝っている。最近、フルタニランバーさんから「グリーン成長枠の補助金を利用して、太陽光発電などによる電力自給事業をしたい」という相談を受けた。補助金を利用し、この木材乾燥機を稼働する電気も含めて自給したいという。
 
しかし前回、「バイオマスが失敗するのは乾燥度を無視する結果」と述べた通り、燃やす木材自体も十分乾燥させておかないといけない。そして熱量はそのまま電気の「kwh」で示せる通り、熱あるいは電気が必要になる。これを従来は「A重油」を燃やして熱を得ていたが、それも太陽光発電で自給したい。
 
そうなると今すでに設置されている太陽光発電システムをさらに増設し、エコワンソーラーを入れて木材乾燥機の熱源として給湯するのがいい。そうすればかなりの部分を脱化石燃料化できる。それに併せて木材乾燥機もさらなるパワーアップを目指したい。
 
そのために静電気のことも調べたのだ。木材には二種類の水が含まれている。簡単に言うと木材の繊維などに結合して存在する「結合水」と、自由に動き回れる「自由水」があって、自由水を抜くと細胞壁が結合水で飽和している状態になる。「繊維飽和点」と呼ばれ、含水率は約30%にさがる。ここまでの工程も簡単ではないが、水分を抜くことはできる。
 
しかしその先が難しい。というのは結合水を抜くとなると、木材が収縮したり、木材に反りや狂いが生じたりするからだ。これを狂うことなく、水分を抜いて含水率15%程度にまで下げたい。この状態を「気乾状態」と言い、強度が高く狂いもない安定した状態になる(下図)。

参考記事:森林研究所たより 木材と水分について(林業にいがた2013年8月号)
https://www.pref.niigata.lg.jp/site/shinrin/rin-nii-201308.html
 
これを「woodbe」は成功させたのだが、その科学的メカニズムが今ひとつわからない。水を改質してサラサラの水にして表面張力の低い水にしているからなのか、その表面張力の低さは改質器のどの部分の効果なのか。その水が抜けていく時に静電気の接着効果は関連するのか。その水が抜けていく時に、水分はどう引かれていくのか。水気を引き込む乾燥機を導入した方がいいのか、それとも「ヘクトパスカル」のような圧力差の力の方が大きいのか。そう考えて静電気についてまで調べたのだ。
 
どうやら「ヘクトパスカル」のような圧力差が大きく関係しそうだ。圧力は熱と大きく関係するから、温度の上げ下げによって水を抜くのがいいのかもしれない。しかし乾燥を実現していくのに、自然な範囲の上下差で行わないと木材を痛める心配もある。
 
もう一つ、「メガヘルツ波」との関係も気にかかる。メガヘルツの電磁波は水の中で「光音響波」と呼ばれる圧力波に変わり、水中深く(数ミリ)まで届いて影響しているのかもしれない。ではその「メガヘルツ波」は何から発することが多いのだろうか。
 
そんなことを考えながら毎日を過ごしている。またここで「フルタニランバー」さんの進展の話もお届けできると思う。こんなことを考えているおかげで、老けこまずにすんでいるのかもしれない。世界にはまだまだ解明されていないことがたくさんある。それが楽しいのだ。
 
 

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